音読の先へ:英語発音評価の応用問題形式を解説
DolphinSOE の英語発音評価で使える11種類の応用問題形式を解説。質疑応答、リテリング、暗唱、自由発話の採点方法・音声の上限・API パラメータを比較し、用途に合う形式を選べます。

DolphinSOE には、単語・文・文章を音読し、複数の観点から発音を評価する基本問題形式があります。ただし、スピーキング力を測るには、音読だけでは十分とはいえません。テーマに沿って考えをまとめる、読んだり聞いたりした内容を自分の言葉で伝える、AI と自由に会話する。こうした場面では、そのまま読み上げる正解文がありません。そこで役立つのが、英語の応用問題形式です。
提示された文章を音読する基本問題形式と、自分の考えを話す応用問題形式の比較基本問題形式と応用問題形式の違い
英語発音評価の基本問題形式を紹介した記事では、音読を中心とした形式を取り上げました。両者の違いを簡潔にいうと、基本問題形式は「提示された文章を読む」、応用問題形式は「自分の中にある内容を言葉にする」ことを求めます。
基本問題形式では、参照テキストに対して、抜けなく、正確に、流暢に読めているかを評価します。一方、応用問題形式の多くは固定の refText を使わず、発話内容そのものの質も評価対象になります。一定の理解力と表現力が必要になるため、一般に子ども向けを想定しておらず、専用の子ども向けモデルも提供していません。
質疑応答(qa):理解と発音を同時に評価する
qa は、場面を設定した質疑応答やロールプレイ、口頭での回答に使う形式です。答え方にはある程度の自由があり、学習者はキーワードを軸に自分の言葉で回答できます。
次の問題を例に考えてみましょう。
以下の文章を読んでください。
Surtsey was born in 1963. Scientists saw the birth of this island. It began in the morning. A fishing boat was near Iceland. The boat moved under the captain's feet. He noticed a strange smell. He saw some black smoke. A volcano was breaking out.
文章を読んだうえで、次の質問に答えてください:What is Surtsey?
解答例:
It's an island.
It's an island near Iceland.
It's an island not far from Iceland.
文章を理解できていれば、Surtsey が島の名前だと分かります。ただし、冒頭の “Somebody was born in ...” という見慣れた言い回しから、人の名前だと思い込む可能性もあります。そこで、解答例に加えて、次の2種類の語を設定します。
keyword(正答キーワード):一致すると得点につながる語です。この問題ではislandを設定します。distractorKeyword(誤答キーワード):一致すると減点される語です。ここではscientistとcaptainを設定します。“It's the name of a scientist” と答えると、誤答キーワードに一致します。
この問題のパラメータは、次のように設定できます。
{ "mode": "qa", "answer": [ { "text": "It's an island." }, { "text": "It's an island near Iceland." }, { "text": "It's an island not far from Iceland." } ], "keyword": [ { "text": "island" } ], "distractorKeyword": [ { "text": "scientist|captain" } ] }
システムは回答の正誤を判定したうえで、発音も評価します。1つの問題で「内容を理解できているか」と「正確に発音できているか」を確認できます。
評価項目には overall、fluency、accuracy、integrity などがあります。それぞれの意味は、発音評価 API の仕組みを解説した記事で紹介しています。
絵・テーマの描写(topic)と口頭発表(op)
この2つは似た場面で使えますが、要点の扱いが異なります。
topic は、文章や複数の絵を提示し、その内容を話してもらう形式です。point で要点を指定できますが、一致した要点は集計されるだけで、スコアには影響しません。返される hitPoint を使えば、どの要点に触れたかを画面上で示せます。スコアは、全体の発音や解答との一致度に基づいて算出されます。
op(oral presentation、口頭発表)も point を指定できます。ただし、こちらは一致した要点の数が総合スコアに影響します。
| 比較項目 | topic | op |
|---|---|---|
| 要点が総合スコアに影響するか | しない。集計のみ | する。pointWeight の既定値は 0.7 |
| hitPoint を返すか | はい | はい |
| 主な用途 | 絵の描写、簡単な説明 | テーマの説明、口頭発表、IELTS Speaking Part 2 の練習 |
留学向けの語学学習サービスでは、テーマに沿って発話を組み立てる練習に活用できます。選ぶ際のポイントは、要点への言及をスコアに反映させたいかどうかです。
リテリングと暗唱(retell / recite)
どちらも、聞いた内容や読んだ内容を再現する問題ですが、重視する点が異なります。
retell(リテリング)では、文章や音声を提示し、読んだり聞いたりしたあとに内容を話してもらいます。発音に加え、物語の理解や要点の再現を確認する形式です。topic と同様に point を指定でき、要点の一致は集計されますが、総合スコアには含まれません。
recite(暗唱)は、応用問題形式の中で唯一、固定の参照テキスト refText を使います。基本問題形式と似ていますが、最大600秒の音声に対応し、暗唱時の完全性や流暢さを重視します。
選択問題・拡張選択問題・選択音読
口頭の問題でも、「理解する」「選ぶ」「発音する」を組み合わせられます。
choice(選択問題):正しい選択肢の内容を読み上げると得点になります。問題を理解し、正しい答えを口頭で伝える場面に適しています。extchoice(拡張選択問題):choiceにキーワードと誤答キーワードを加えた形式です。選んだ答えを完全な文にするなど、選択肢をもとに表現を広げる課題に使えます。elective(選択音読):複数の文から1つを選んで読んでもらいます。システムは最も一致度の高い文を評価対象とし、選ばれた文の番号を返します。
理解と正答の選択を確認するなら choice、選択肢からさらに表現を広げてもらうなら extchoice が適しています。「自信のある文を1つ選んで読んでください」のように、話し始める負担を軽くしたい練習には elective を使えます。
自由発話・完全自由回答・文法訂正
テーマを指定したスピーチのように、決まった正解がない課題もあります。こうした場面には、次の3つの問題形式が対応します。
freedom(自由発話):参照テキストも内容の範囲指定もなく、自由に話す形式です。発音の正確さと流暢さを評価します。freedompro(完全自由回答):参照テキストを使わない総合評価です。questionPromptでテーマを指定すると、そのテーマに沿っているかをrelevancyで評価できます。freedomgec(文法訂正):返されるgrammarオブジェクトには、訂正文のcorrected、説明のexplain、誤りの有無を示すtypeが含まれます。発話に対して文法のフィードバックを返せます。
AI を使った会話練習では、まず話す機会をつくる freedom、文法の改善を支える freedomgec、テーマに沿った応答を評価する freedompro と、目的に合わせて使い分けられます。
11種類の応用問題形式を選ぶ
| 問題形式 | コード | 音声の上限 | 参照解答の要否 | 内容の一致をどう扱うか | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| 質疑応答 | qa | 60秒 | 必要(answer) | 正答・誤答キーワード | 場面別の質疑応答、聞き取った情報の選択、ロールプレイ |
| 絵・テーマの描写 | topic | 600秒 | 必要(answer) | 要点を集計。採点には含めない | 絵の描写、口頭作文 |
| リテリング | retell | 600秒 | 必要(answer) | 要点を集計。採点には含めない | 聞いた内容・読んだ内容の再現 |
| 口頭発表 | op | 600秒 | 必要(answer) | 要点を総合スコアに反映 | テーマの説明、IELTS Speaking Part 2 の練習 |
| 選択問題 | choice | 60秒 | 必要(answer) | 選択肢との一致 | 選んだ解答の音読 |
| 拡張選択問題 | extchoice | 60秒 | 必要(answer) | 正答・誤答キーワード | 選択肢の音読と回答の展開 |
| 選択音読 | elective | 60秒 | 必要(answer) | 文との一致 | 複数の文から選んで音読 |
| 暗唱 | recite | 600秒 | 必要(refText) | 一致度と韻律 | 記憶した文章の再現 |
| 自由発話 | freedom | 600秒 | 不要 | 発音と流暢さのみ | 自由に話す練習 |
| 完全自由回答 | freedompro | 600秒 | 不要(questionPrompt を指定可能) | テーマとの関連性・文法・語彙 | 自由回答、会話練習 |
| 文法訂正 | freedomgec | 600秒 | 不要 | 文法訂正 | 自由発話と添削 |
選ぶときは、まず「提示された文章を読むのか、自分で内容を組み立てて話すのか」を確認します。音読なら基本問題形式、自分で組み立てて話すなら応用問題形式が検討の出発点になります。
次に、参照解答や要点があるかを確認します。ある場合は qa、topic、op、retell など、ない場合は freedom、freedompro などが候補です。
SDK では mode で問題形式を選び、その形式に必要なパラメータを設定します。たとえば Android SDK で freedom を選ぶ場合は、json.put("mode", "freedom") と指定します。接続手順は、発音評価 Android SDK を10分で導入するガイドを参照してください。
DolphinSOE の導入について
DolphinSOE は日本市場で安定稼働しており、1日あたり約10万回呼び出されています。外国語学習アプリ、学校、各種の課外教育機関で利用されており、英語の応用問題形式はこうした学習場面を支える機能です。
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